この国には台風も地震もないそうです。
冬の寒さは既報の通りですが、今の時期はかなり過ごしやすいです。
今度、夏の暑さを体験してみたいですね。
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いちおう来る前に、以前来ていた人やこの地に住む者に天候や気温
について聞いてみました。
皆、暑いというのです。
なるほどということで、スーツは夏物、普段着は半袖を用意して来
ました。
ところがとんでもない! 未だ日本の4月上旬の気候じゃないです
か!!
確かに日中は陽があたっていれば暖かく、軽く散歩でもすればいく
らか汗ばむかもしれません。 まぁその時は半袖でもいいかもしれ
ません。
しかしそんな時間帯は我々は建物の中で仕事しているわけで、朝晩
の通勤時には未だひんやりしているのです。 夏物のスーツでは寒
いです。
そりゃこの国にもいますよ、皆が寒いと言っている時にTシャツと
短パンで平気な顔してる人。 そんな皮下脂肪のかたまりのような
人のことは対象外です。
なんかフランスに出張して来ると、いつも寒い寒いって言っている
気がします。
今の時期では、朝6時にはもう明るくなり、夜10時を過ぎてよう
やく暗くなり始めます。 まだ夕方のような感覚でいると、いつの
間にか21時になっていたりします。
滞在2週間目に入って、夕方時々雷雨があります。 あまり長い間
は降らず、数分から数十分降ると止んでしまいます。 日によって
はそれを数回繰り返すこともあります。
唯一の救いは湿度が低いことでしょうか。 夕立があっても湿度は
上がりません。 蒸し蒸ししているこの時期の日本に較べると天国
のようです。
Velizyはパリの周りを囲む深い森の外、いわゆるイル・ド・
フランスと呼ばれる地区にあります。 パリの地図を見ても載って
いません。
観光ガイドなどではイル・ド・フランスといえば、ベルサイユなど
が有名ですが、その手前にVelizyがあります。
深い森をパリから伸びた高速道路が東西に横切っています。
Velizy事務所のすぐ近くにもその深い森があって、森の中に
は散歩道があります。
散歩道では、休日ともなると、散歩する人や、ジョギングする人、
サイクリングする人などを時々見かけます。
森が直射日光を遮ってくれますので、散歩するには今の時期は最適
ではないでしょうか。
二軒目の(○○)ホテルから事務所に通うには、例の危ない道を通る
以外に、実はこの散歩道を通って行く方法があります。 所要時間
も5分程度短縮できます。
ただし朝は歩く人もなく、また我々が帰る頃になるとかなり暗く、
当然街灯などないのですから歩けないでしょう。
イカレタ人達はいないようですが、夜になるとどんな動物が飛び出
してくるか分かりません。 私は先週末にこの道を散歩した時に、
野生のうさぎを見ました。
うさぎならいいですが、犬などのもうちょっと大きな動物だったら
けっこう恐いかもしれません。
それに地面は土ですから、雨天や雨上がりには歩かない方が利口で
す。
イル・ド・フランスからパリの方に近づくと、小高い丘の上に閑静
な住宅街があります。 パリの街を望むこの地は、やはり一戸建て
の家が多いようです。
眼下にはセーヌ川がゆったりと流れています。 河岸の景色は市内
とはまた違った趣があります。
この辺りあるいは対岸地区のホテルに滞在できれば、Velizy
にも近く、タクシーも嫌がらないのではないかと思います。
またそこそこ栄えているようですから、日常生活にも困ることはな
いと思います。
パリ中心部、ポルト・マイヨのすぐ近くにはブローニュの森もあり
ます。 この森の中にある洒落たレストランで昼食を食べることが
日本の観光ツアーの定番になっています。
ここは昼間は恋人達や観光客にとっていい散歩コースですが、夜暗
くなると怪しい人達の溜まり場になってしまいます。
その気がない限り近づいてはいけません。
前記の森もこの森もあまり人の手が入っていないというか、自然の
ままというか、そういうところにただ散歩道があるだけです。
一方パリ市内はもう大都会なわけですが、こちらには街路樹として
さまざまな木々が生い茂っています。
ところどころに花壇もしつらえてあります。
たんなる近代的高層ビルの林立ではなく、伝統と風格をたたえ彫刻
が施された建築物と、街路樹、花壇、公園、噴水などがこの街を彩
っています。
舗道に面して並ぶいくつものカフェ・テラスもこの街の重要な風景
の一部です。
ここではショッピングなどよりも街を歩くことをお薦めします。
歩き疲れたら安めばいいのです。
ところ狭しと置かれたテーブルでカフェやディアブロ・マントを飲
み、街行く人々を眺めたり、木々のざわめきに耳を傾ける、それだ
けでリッチな気分になれます。
そんなふうに皆が思い思いに時間の流れを楽しめる。 東京の歩行
者天国や何とか公園とは違った趣がある。
それがこの街の魅力ではないでしょうか。
この国の人達も、この国の自然の一部といってしまいましょう。
彼らは自分勝手とか利己的とか言われます。 確かにそういう面も
ありましょう。 ただそれをお互いに認めた上で、全てのルールが
成り立っていたり、相手の立場を理解することも忘れていないよう
に思います。
さらにこの国の人達は、自分達が築きあげてきた国や思想や文化を
頑ななまでに守ろうとしています。 なにより自分の国に誇りを持
っています。
彼らを見ていて、日本人が忘れようとしている何かを感じるのは私
だけでしょうか。
なーんちゃって。
************ 以上本文 *************
※注
私は決してこの国にかぶれてしまったわけではありません。
何事も客観的に観察評価して、それを自分の価値観や意識や行動
に反映しようとしているだけなのです。
それに私は、それが消えてゆきつつある気がしてならないのです
が、日本人が誇るべき美点を知っています。
奥ゆかしさです。 桜の花の色は決して鮮やかでなく淡いけれど、
素晴らしく美しい色。 この色こそ奥ゆかしさの典型だと思って
います。
確か長野県の高遠(タカトオ)とかいうところには、鮮やかな赤い
色の桜が咲きます。 それが好きな人もいるようですが、私はや
はり淡いあの色が好きです。
では。
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