むしょうに食べたくなる味というものがある。 たいていそれは珍味だったり、ゲテモノだったり、まっどちらかというと美味いモノ ではないことが多いのだが、しかしなぜか、むしょうに食べたくなるモノ、時がある。 何がゲテモノか、何が不味いかは、個人差があるとしても、この「むしょうに食べたく なる」感覚は誰にも心当たりがあろう。 私の場合、天下一品ラーメンがそれにあたるのかもしれない。 今から7〜6年くらい前になるが、その頃、仙台(TCS)へ何度か出張する機会があった。 出張する度に地元の人達から歓待され、夜な夜な事務所の近くの繁華街(国分町)に繰り出 した。 夜9時頃に仕事を終えてから、食事、飲酒、カラオケとお決まりのコースをこなす と、ホテルへ帰るのはだいたい深夜2時頃になる。 そういう時の「仕上げ」として、よく食べたのが天下一品ラーメンである。 これは誰にでも気軽に奨められる一品ではない。 奨めれば、むしろ味覚を疑われる可能性 すらあるシロモノである。 実際、一か月程度の間隔でTCSへ出張した時には食べたいとは思わなかったが、半年くらい 間隔が開くと、なぜか食べてみたくなるのである。 また5食くらい入ったインスタント用 セットを土産に買って帰ったこともあったが、自分では1食食べただけで、残りは家族に無理 やり喰わせたりした。 それでもなぜか出張する度に「仕上げ」として、よく食べたものである。 TCSへ行かなくなってからは、このラーメンのことをすっかり忘れていたのだが、今年に なって、ひょんなことから、私は環状2号沿いに「天下一品」という看板を発見した。 われらの064が環状2号沿いのラーメン屋を巡るようになって、しばらく経った日のこと 「064はこんなところを徘徊してるのかぁ〜」などと思いながら、フト見た先に偶然目に 留まったのである。 それ以来、一度行ってみようという気になっていた。 さらに数か月経ち、とうとうその店に来ることになった。 店の前に立ち、さらに中に入ってみても、同じ系列の店なのか確信は持てない。 仙台では、店の様子などよりも、スープの印象しかないのだ。 席に着いて、壁に掛かったメニューを見る。 基本的にはラーメンとチャーシューメンしかない。 それの並盛りと大盛り、あとはライスや 餃子とのセット・メニューという構成。 ラーメンとチャーシューメンの違いはチャーシュー の数だけのようだ。 スープには「こってり」と「あっさり」があると書いてある。 わざわざ来たからにはゴロゴロ さんの心配などしてはいられない。 当然「こってり」を注文する。 さてでは、さっそくスープを飲んでみるか・・ズズゥー・・うわっ、これだこれだ・・ひぇ〜・・ 私は「こってり」したものは嫌いではないが、それにしてもこのスープはどうだ。 ラーメン のスープというより、ポタージュ・スープと言った方が適切とも思える濃厚さだ。 一口飲んで「ウゲッ」となる人も多かろう。 しかし、それこそが、このラーメンの「売り」 なのである。 いやはや、それにしても、よくこんなの食べてたなぁ〜。 スープの中には、少し太めの麺とチャーシューとシナチク、それに唐がらしのカケラが入って いるだけだ。 チャーシューもシナチクも、あまり味がしない。 これだけ濃厚なスープの前 には、どんな具の味も意味がないのだろう。 頑張って食べると、どうも麺の量が少ないように感じる。 う〜ん、麺の量がこれだけの割り には、この値付けは高くないか(ラーメンの並は¥630、チャーシューメンの並は¥820)? 餃子は少し小振りなのが6つで¥280。 値段はまずまずだが、味は・・これもまずまずだ。 まっとにかく、この店ではスープが全てなんでしょう。 濃厚なスープが好きな人には最高の店、そうでない人には二度と行きたくない店ということ でしょうな。 さらに頑張って食べると、ドンブリの中から「明日もお待ちしてます」という文字が浮かび 上がって来た(底の方にそう書いてある)。 きゃ〜勘弁してよ〜。 店にいる他の客達は、その注文の手際を見ていると、どうも常連らしい。 まっ好きな人には タマランでしょうな。 私は・・やはりシラフで食べるのはキツかった。 味はともかく、とりあえず目的は達したからヨシとしよう。 ※いくらゲテモノだとか不味いとか言っても、ローズテリアやアルカテルの食堂のモノは、  むしょうに食べたくなることはありませんので、誤解されませんように。 あれは人間の  食べるモノではありませんので。