JR根岸線・洋光台駅前には高層の公団住宅が立ち並び、それらの1階部分は店舗に なっている。 住宅が数棟あるので店舗の数もそれなりに多く、スーパー、100円ショップ、携帯 電話ショップ、理髪店、肉屋、魚屋、喫茶店、レストラン、本屋などなど、そこだけ でちょっとした商店街のような佇まいを形成している。 セピア・ホールはそんな佇まいの中にあり、看板にはカフェ・レストランと書いてある。 事情通の話では、同名の店が緑園都市にもあったようだが、そこは「馬車道ホール」 などに名を変えたりして、今では「緑園ホール」という名になっているそうである。 オーナーは「ホール」がよほど好きなのか? 「緑園都市のセピア・ホールではオムライスが美味しかった」という口コミ情報が得 られたので、今回はそれを検証する目的もあって、洋光台のこの店を訪れてみた。 店の入り口(画像左)は大きな一枚扉であり、中の様子は分かりにくい。この扉は少し 気になる。このような場所にある店には、もう少し親しみ易い雰囲気が欲しいと思う。 扉を開けて中に入ると、レトロ調のテーブルと椅子がなかなかいい雰囲気を出している。 BGMにはジャズが流れており、店内の雰囲気と合わせて、オーナーの懐古趣味が感じ られる。 その一方で、大画面ディスプレィにはトムとジェリーのDVD映像が流れている。これ も懐古には違いなかろうが、何かアンバランスな気がする。懐古にこだわるなら、古び たテレビ受像機に白黒映像の方が効果的だし、ジャズにこだわるなら、マイルス・デイ ビスやキース・ジャレットなどのライブを収録した映像でもあれば最高と思う。 手作りっぽいメニューには「町の洋食屋さん」といった感じの料理が並んでいる。なる ほど、店の名や雰囲気からも、この店には「町の洋食屋さん」という表現がぴったりだ。 そう考えてくると、先ほどのアニメのDVD映像も気にならない(どうでもいい)。繁華 街にあるお洒落な店じゃぁあるまいし、町の洋食屋なら何でもありかという気もする。 ハイカラに憧れてはいるが現実にはそうなり切れない人達が通ったのが町の洋食屋で あるとするなら、チグハグ感も重要な演出アイテムという解釈もあり得るだろう。 思いを廻らしている内に、注文した「気まぐれサラダ」(画像右)(¥650)がやって来た。 価格の割には量は多めだ。これなら村○さんも文句は言うまいが、当人はサラダなんて 食べないか!? 「気まぐれ」と言うからには、いつも違うネタが入っているのかもしれないが、この時は サニーレタス、水菜、スライスした玉葱、トマト、アスパラ、コーン、ベビー・コーン などが入っていた。それにあっさり(薄)めのサウザンアイランド・ドレッシングをかけて 食べる。もしかすると「洋食」から連想するドレッシングはサウザンアイランドなのか! 味はまぁ想像する通り、可もなく不可もなし。 さて次の料理はどうかな? 続いてテーブルに並べられたのは「生ハムとトマトのピザ」(画像左)(¥1,500)。 これまた大きい!直径は30cmくらいあるかな。 薄い生地にはほんのりと味が付いており、それだけ食べても美味しい。かといって主張し 過ぎる味ではなく、あっさりしていて、どんなトッピングとでも合う好ましいものである。 今回はそれに生ハムとスライスしたトマトが乗っている。生ハムとトマトはクセがなく、 誰でも美味しく食べることができるだろう。 続いては「セピア風オムレツ」(画像右)(¥1,200)、これまた巨大だ。店の名を冠して いるのだから、自信作なのであろう。メニューにも「お薦め」と書いてあった。オムライス にハヤシ・ライスのハヤシを絡めて食べるようだ。 まず玉子は・・フムフム、柔らかくていいぞー。その下にあるのは、よくあるチキンライス ではなく、軽く炒めたライス。ピラフほどのしっかりした味はないが、それだけでもまぁ まぁいける。よく見れば、ニンジンやピーマンの小さい切れ端も入っている。それと共に 炒めて味を付けているんだね。そしてハヤシは・・単独では甘さが目立つが、オムライスと 絡めて食べれば、まぁいけるかな。 かつて緑園都市の店で「美味しかった」と評判だったそうだが、総合的には・・「☆☆、 こんなのもあってもいいんじゃない」くらいかなぁ。 ハヤシは甘みを抑えてハヤシ本来の酸味を効かせた方がいいとか、いっそのことビーフ・ シチューを絡めたらとか、オムライスというからにはハヤシの量は減らした方がいいとか、 欲を言えばキリがないが、これはこれで良いと思う。 その方が手探りでハイカラを追求している様がよく表れていると思うのだ。 ただし価格は考え直した方がいいと思う。メニューにはスパゲティやハンバーグなどもある のだが、どれも¥1,000を越える値付けになっている。量を考えれば納得もできるが、 町の洋食屋さんに初めて来た客は量を知らないのだから、あるいは店先のメニューで入ろう かどうしようかと悩む客は、その価格を見て躊躇するような気がする(ねぇ村○さん)。 以上3品に飲み物(グレープフルーツ・ジュースとジンジャーエール)を合わせて、 ¥4,200也であった。