山頭火・・ずっと気になっていたキーワードである。 私はラーメンをそれほど積極的には食べないが、その数少ないラーメン屋巡りの中で、 いつかは総本山である山頭火を訪れてみたいという思いがあった。 「総本山というなら、吉村家だってそうだろう」という声もあろうし、まさにその通り だ。 しかし、先入観を持たずに数件のラーメン屋を巡った後、私が「ふむ、これはいける」 と思った店について調べてみると、いつも山頭火というキーワードに辿り着いた。 一方で、結果的には、私は家系の味をあまり好きにはなれなかった。 その待望の山頭火を訪れる機会があったので、報告しよう。 事前にいろいろな画像を見ていると、どうやら豚骨系のようだ。 やはり私はこういう 系統が好きなのだ。 そう思って店に入ると・・明るい照明で小奇麗に保たれている店内には、豚骨のむせか えるような匂いがしない。 へぇ〜、ちょっと拍子抜け。 (悪い意味ではない) メニューを見れば・・味にはしお、みそ、ちょうゆ、辛味噌があるようだ。 またまた 意外。 うむむ、コテコテの豚骨屋じゃないのね。 注文した「しお」は、見た目は豚骨だが、あの独特の匂いはそれほど感じられない。  スープを一口すすってみると・・あれま、ずいぶんサッパリしてるねぇ〜。 個人的に はもう少しコクが欲しい気がする。 麺はメニューに書かれている通り「硬め」。 個人的にはもうほんの少し柔らかくても いいと思う。 まぁしかし、食べ進んでも麺も具もそれぞれの味がちゃんと感じられるし、なにより スープの味がサッパリさを失うことなく感じられるのは素晴らしい。 始めの一口があまりにもサッパリしていたので、途中で???となりはしないかと危惧 していたが、それは杞憂に終わった。 (過去、途中で???となるスープに遭遇した ことがあった) おまけに注文した香味玉子。 秘伝のタレに漬け込んだということで、確かに独特の タレの味を感じるが、それまたサッパリしている。 総合的に見て、個人的にはもう少し濃厚であってもよいと思うが、豚骨に不慣れな人や 好きでない人にも違和感なく、美味しく食べられる味だと思う。 コテコテを期待していた私の予想は見事に裏切られてしまったが、このような進化、 派生の方向もあるのだということを身をもって感じた。 そして「かつてラーメン甲子園で食べた『呑ん器』のスープは、この延長線上にある」 のだと、私は改めて納得、感心したのである。 山頭火の系統なら、これからもいろいろ食べてみたいと思う。