ここはとんかつ屋としてはかなり大きな店だと思う。 元々肉屋だったそうで「肉にはこだわりがある」と店長自ら言っている。 1階には20人分のテーブル席と10人分のカウンター席、さらに2階にも約30人分ほどの 座敷席がある。 湘南海岸まで歩いて行けるほどの距離であることもあって、この店は腹を空かした サーファー達や近所の常連さん達でいつも混雑している。 そういう客を意識してか、あるいは元々そうなのか、とにかくここの料理はボリュー ム超満点である。 そこらのとんかつ屋に較べるとほんの少し値が高めだが、その思い はやがてすぐに払拭され充分に納得することになる。 最繁時には予約が必要なほど混雑しているようだが、今回私は運良く予約なしで入店 できた。 それでもテーブル席は4〜6人用の席を除き満席だった。 私はむしろ厨房の 中の様子を見たかったので、躊躇なくカウンター席に陣取った。 大きな店だけあってスタッフの人数も多い。 レジ専門のおじいちゃんと持ち帰り物の袋詰め専門のおばあちゃん(たぶん創業者夫婦?) 以外に、かつを揚げるおやじさんが二人、ご飯や味噌汁の盛り付け担当のおばちゃん、 接客/配膳担当のおばちゃん、裏で野菜などの下準備をする若者、洗い物担当のおばち ゃんなど、総勢10人くらいで分担しているようだ。 かつを揚げる「作業場」には小麦粉、卵、パン粉のトレーが整然と配置され、見ている と、かつの種類によって肉に小麦粉、卵、パン粉を塗す回数や順番が微妙に異なって いるようである。 揚げ物をする油槽も複数あり、どうやらそれぞれ異なる温度に設定してあるようで、揚 げるものによってそれらを巧みに使い分けている様子。 それらの作業をスタッフ全員が協調して整然とテキパキと遂行している様子は、見てい てとても気持ちが良く飽きないし、またこれから目の前に並ぶであろう料理への期待が ふくらむ。 今回私はひれかつ定食(¥1,450)を注文した。 料理が目の前に出されると、まず皿の大きさに圧倒される。 直径が25cmを軽く超えて いるのだ。 ひれかつ定食には直径7cmほどのひれかつが4つ。 キャベツは料理人のおやじさんの大 きな手で鷲掴みにされ、皿の上に高さ15cmほどの文字通り「山盛り」にされる。 味噌汁はデフォルトでトン汁が付くのが嬉しい。 しかも大根、人参、牛蒡などの具は いずれも大きな塊でいっぱい入っている。 これで満腹にならない筈はない。 値付けだけを見て高めだと思っていても、実物を見 た瞬間に納得を通り越して「完食できるか?」という嬉しい不安に変わる。 お隣さんが注文したミックス(海老フライとひれかつ)定食(¥1,450)もまた凄い。 その海老フライが巨大なのだ。 長さが17cmくらいもある海老が惜しげもなく2尾、 さらに直径7cmくらいのひれかつが2つ。 それも完食するのは大変そうだ。 メニューには車海老フライ定食(¥2,900)や特大車海老フライ定食(¥3,600)などもあっ たが、それはいったいどれほど大きさなのであろうか? 想像するだけで満腹になり そうだ。 かつを食べると文字通り「サクサク」した衣と、それとは対照的に柔らか〜いジュー シーなひれ肉の歯ざわりが心地よい。 とんかつソースは特に濃厚でもなく、かつそのものの味を存分に楽しめる。 キャベツにかけるドレッシングはとんかつソースとは別に用意されている。 しかも それはこの店オリジナルのようだ。 たぶん玉ねぎ、人参、レモンなどを調合したもの であろうが、サッパリしていてキャベツの味をちゃんと引き出している。 海老フライにかけるタルタルソースも卵をたっぷり使った店のオリジナルのようだ。 口直しの沢庵もたぶんこの店で漬けたものだと思われる。 無心に食べていると「ご飯とキャベツはお代わりは何杯でも自由です」と後ろから声を かけられた。 大食漢三人衆なら大喜びだろうが、私にはデフォルトを片付けるのも苦 しい。 大きなかつを食べたにも関わらず胃への負担はまったく感じられない。 ソースやドレ ッシングがサッパリしていたのに加え、かつを揚げるための油やラードなども質が良い ものを適切に使っているのであろう。 いやはや昼間から満腹になっちゃって、この後どうしたものか・・ 画像はひれかつ定食(左)と海老フライ(右)をアップ。