横浜市都筑区にある横浜市営地下鉄のセンター北駅には、iti(あいたい)と呼ばれる 商業施設が併設されており、携帯電話ショップ、スーパー、ファースト・フード、レス トラン、喫茶店、100円ショップ等の店舗、ボーリング場やゲーム・センター等の娯楽 施設、さらには郵便局や複数の銀行が入居している。 他に何もないこともあって、itiができた当初はそこそこ繁盛していたようだが、開発 が進むにつれて、大規模店に客を奪われるようになり、かつての勢いにも陰りがでてきた ように見える。 もとよりこの地区では車での移動が大前提であり、週末ともなれば、大規模店(センター 南駅前に東急デパートが進出し、またすぐ目の前のセンター北駅前には阪急デパートが 進出した)へ行くにも、駐車場へ入るだけで長蛇の列に1時間近く並ばねばならず、周辺 の道路はパニック状態となる。 それに較べれば、駅に直結した施設や多少混雑するもののパニックまでには至らない駐車 場等々、itiにもまだまだ優位性を見出すことができ、その辺りを効果的にアピール したり、他との差別化を図っていくことにより、起死回生のホームランを打てる余地は まだまだあると思われる。 この地区の商工会がそう考えたのかどうかは分からないが、入れ替わりの激しいテナント を整理し、1フロア全てをラーメン専門店とし、さらにそれらを競わせようという試みが 始まった。 それがラーメン甲子園である。 甲子園という名が象徴するように、ラーメン専門店は各都道府県から選抜され、来客数や 人気メニューの注文数を競うことになる。 しかも半年毎に店の総入れ替えが行われるというのだから、たとえ今期の店が不振でも 半年後には新たな期待をかけることができる。 少なくとも商工会はそう考えているので あろう。 客にとっては、日本各地のラーメンを手軽に試すには絶好の場所である。 美味い店に 出会えるか否か、商工会の目論見通りに事が運ぶか否か、関心事は人それぞれであろうが、 いずれにしろ今後が楽しみな企画といえよう。 一方で、最近、環状2号沿いをはじめとして、各所にあるラーメン店が話題となっており、 いずれの店もいつ通りかかっても、席待ちの人々で溢れている。 グルメを自称する者として、そんな光景を見る度に「いったい、それが、どれほど美味い のか」という疑問を感じずにはいられなかった。 その答えを得るには自分で食べてみれば良いのであるが、他にも方法がある。 そう、 好都合なことに、我々には環状2号のラーメンを食べ歩き、その味に精通している064 がいる。 つまり、064と共にどこかのラーメンを食べ、お互いの評価を突き合わせることによって も、答えが得られるのだ。 環状2号のラーメン屋シリーズもそろそろ完結が近いことを考慮して「どこか」を新たな ラーメン店街に設定すれば、同時に新しいシリーズの可能性を探ることもできるのだ。 そうして、今回白羽の矢を立てたのが、上記itiにできたラーメン甲子園である。 前置きが長くなってしまったが、皆がそれを読んでいる間に、064と私はラーメン甲子園 に到着し、今回は味噌ラーメンの専門店である「味噌次郎」を試すことに決めた。 二人共、味噌ラーメンが好みであることを考慮したのだ。 食券やら何やらについては、既に064が投稿しているので省略し、以下グルメの鉄人とし て観点からの評価を中心に述べよう。 私が注文したのはネギ味噌ラーメン(¥850)と店長お奨めの餃子(¥500)。 食べる前から言うのも変かもしれないが、この値付けは少々高い気がする。 味に依るとして も、ラーメン一杯は¥600くらい、餃子もせいぜい¥350くらいが妥当ではないだろうか。 では実際に食べてみよう。 うん、この味噌ラーメン(画像左)はイケる! あっさり目のスープだが、スープの味は麺にもよく絡まっている。 チャーシューの味も同様にあっさりしており、これなら2枚食べても胃に負担がかかることは ないだろう。 チャーシューに味がないわけでなく、スープとは別の味があるのだが、あっさり しているのだ。 スープもチャーシューも、もう少し味が濃くても良いとは思うが、下手に濃過ぎるよりマシだ。 これはこれでアリだと思う。 けっして剛速球ではないが、実に素直な直球というところか。 ただし、スープがこれだけあっさり味なら、トッピングのネギはない方が良いと思う。 ネギがスープの味をさらに薄める方向に働くからだ。 つまり普通の味噌ラーメンの方が良いだろう。 ムチャクチャ旨いというほどではないが、けっして不味くはなく、いやむしろ誰にでも安心して 奨められる、そこそこの味と思われる。 一方の餃子(画像右)はどうか。 店長のお奨めとは、たぶんタレが自慢なのであろうが、そのタレは少し辛めで、それを緩和する 目的からか、ネギがたっぷり餃子に乗っている。 餃子そのものは・・まっ普通のどこにでもある味。 もう少し小さくても良いから、肉のジュー シーさを出して欲しい。 肉がジューシーであれば、辛めのタレとももっと合うと思われる。 ラーメンと一緒に食べれば、スープが薄味であるから、このタレの辛さが一層引き立つのだが、 それでは本末転倒であろう。 ラーメン屋なのだから、餃子はラーメンの味を引き立てる役で なければなるまい。 まさか餃子とライスで餃子定食にしろというわけでもないだろう。 そもそもそんなメニュー はないし、それにしてもジューシーさが足りないのは決定的だ。 さて、味噌ラーメンを食べた064に聞いてみよう。 「環状2号のラーメンと較べて、どぉぅ?」 「こっちの方が美味い!」 えぇっ、環状2号ってあれだけ並んでいるのに、ここに負けた!? つまり甲子園に出場できるほどの実力はないということ!? 唖然とする私の前で、064はスープを飲み干した。 うむむ・・そういうことなのね。