京都に本店を置く、京のお漬け物の老舗、近為(きんため)。 京都本店と、ここ北鎌倉店では、その漬け物を使ったお茶漬けを食べることができる。 客の「このお漬け物でお茶漬けが食べたいわ」という一言から、始まったそうである。 通りから見るとただの漬け物屋なのだが、中に入ると、古びた立派な民家(画像左)で あることに気づく。 お茶漬けを食べる旨告げると、店の人が水鉢から杓で水をすくってくれるので、それで 手を洗う。 なんとも風流ですな〜。 案内に従い靴を脱ぎ、磨かれ使いこまれて黒光りした階段を上り、趣のある和室に案内 される。 静かに歩かないとギシギシ音がする。 そんな古い民家の二階に、黒塗りの膳と座布団が並んでいる。 そこに腰を下ろすだけで、懐かしい気分になり、なんとも落ち着ける。 部屋を見回すと、これまた立派な掛け軸がかかっている。 日本人には、やはりこれだね。 やがて、市毛良枝を若くしたような着物姿のオネーサンが注文を取りに来る。 これまた、いいねぇ〜。 この建物とオネーサンも一緒に持って帰りたいねぇ・・ (あらっ?何の記事だ??) メニューは懐石風の白梅コース(¥2,100)と紅梅コース(¥2,600)の2つ。 白梅コースのお品書きは次のとおり。 紅梅コースにはさらに季節の魚の黄金漬けとコーヒー がプラスされる。 一の膳 - 奈良漬けのお寿司 - 筍の柔漬け - 柚こぼし 二の膳 - 白みそのお雑煮 三の膳 (盛り合わせ) (画像右) - 長芋とおくら - すいかの味醂漬け - しばづけ・おさの里 - 千本漬けたくわん - 昆布味大根 - 浅うり - 京なす・青なしぐれ - なたわり漬け - みょうがの梅酢漬け - 昆布きゅうり - ちりめん山椒 - 切り干し大根 一の膳は、アペタイザーのようなもの。 名物の柚こぼしや珍しい筍の漬け物に舌鼓を打つ。 奈良漬けはあまり好きではないが、せっかくだから食べてみようか・・ふむふむ。 あれま、あっと言う間に食べ終わってしまった。 二の膳の白みそのお雑煮は初めて見るシロモノ。 白みそがあっさりしていて、小振りの餅は 焼き加減もちょうど良く、適度に柔らかい。 はふはふ・・美味しいねぇ。 味覚も視覚も楽しめる。 漬け物って奥が深いんだねぇ〜。 緑茶がまたよく合いますのよ。 おほほ。 いよいよ三の膳、メインディッシュたる漬け物の登場。 10種類ほどの京の漬け物がかぶら の大鉢に見事に盛りつけられ、切り干し大根とちりめん山椒が添えられる。 そしておひつに 入ったご飯と土瓶にたっぷり入った番茶が用意される。 まずは、ちりめん山椒と漬け物をいただきながら、ご飯をいただく。 美味っ! これだけで 何杯でも食べられそう! さらに番茶をかけて、さらさらとお茶漬けをすする。 ふぁ〜、極楽、極楽。 さっきまでお喋りしていた回りの客(おばさん(客の9割以上が女性))達も、さらさらとお茶漬け をすすっている。 みんな日本人なんだねぇ〜。 10種類ある漬け物をどれから食べようかと迷いつつ、気がつけば、ご飯を2杯もお代りをして いる自分にびっくり! ひぇ〜、普段はこんなに食べることないのにぃ〜! やっぱり日本人とお茶漬けは、DNAに刻みこまれた、最高の組み合わせなんだねぇ〜! お腹がいっぱいになった後は、もちろん古都鎌倉の散歩にきまり。 ここで一首。 「歴史など 君言ひし ことのみ憶ゆ 1192(いいくに)作らう 鎌倉幕府」(哲也) ※漬け物店の営業時間は10〜17時だが、お茶漬け席は11〜15時であるので要注意。