先日(10/19)の記事(萬珍樓點心舗)で、にわか中華料理通になった方々、まだ記憶 が残っているかな? 今回はその続編として、四川料理の代表格である重慶飯店を紹介しよう。 世界のチャイナタウンの中でも最大規模を誇る横浜中華街において、1959年に開店 した重慶飯店は四川料理の老舗として発展し今日に至っている。 コース料理やランチメニューを他店に先駆けて取り入れたり、最近では通信販売も手が けている。 横浜中華街には本店、本館、新館、別館、売店があり、さらに名古屋と岡山にも出店し ている。 今回訪れた新館は、ローズホテル内に店を構えている。 1階には丸テーブルが配された部分と貴賓室と呼ばれる部屋があり、いずれもゆったりと 落ち着いて食事を楽しむことができる。 また3階にはプライベートな会食や集まり用に大小の個室も用意されている。 いずれもホテル内の施設だけあって、店内の雰囲気や接客対応などはさすがである。 メニューには各種コース料理、お薦め料理、一品料理などが多く並んでおり、慣れないと 注文するのも難しい。 今回私が注文したのは次のとおり。 四川坦々麺(四川風胡麻味噌辛し入りスープソバ):¥1,050 干編牛肉(牛肉と人参とセロリの細切り四川風炒め):¥2,310 重慶炒飯(海老と鶏肉入りXO醤チャーハン):¥1,260 ※いずれも小皿だが2〜3人分の量がある。  点心ものはないので、できれば大人数で出かけたいところだ。 周りの客が食べている料理などを観察したりしていると、ほどなく四川坦々麺が出てきた。 見るからに辛くて旨そうだが、食べる前にチェック。 麺は細めのストレート。 具として 青ネギ、豚挽き肉、もやしが入っている。 それからスープを飲んでみる。 思ったほどは辛くない・・が、後でジワッと効いてくる ・・しかし騒ぐほどでもない。 このスープは、巷のタンタンメン(横浜タンタン等々)のスープとはまるで違う。 コクがあってまろやかとでもいおうか、もっと上品な辛さである。 たぶん、鶏ガラをベースとして、甜面醤(テンメンジャン:肉味噌の味付け)、芝麻醤(チーマ ージャン:練った白ゴマ)、ラー油を加えているのであろう。 まろやかさの秘密はアーモンドかナッツかとも思ったが、たぶん白ゴマだと思われる。 私は最近いろいろなラーメンを食べているが、それらのどれとも違う奥の深さと美味しさが 感じられる。 私はやらないが、人によってはこのスープを飲み干すこともできると思う。  麺は少し硬めだが、この坦々麺には合っていると思う。 一気に食べれるわけでもなし、味わい ながら食べている内にちょうどよい柔らかさにもなるというもの。 坦々麺に舌鼓をうっていると、干編牛肉と重慶炒飯が続けて出てきた。 干編牛肉は、牛肉、人参、セロリ、長ネギを細切りにしたものを豆板醤で炒めたもの。 もしかすると甜面醤も使ってあるかもしれない。 人参、セロリ、長ネギの細切りがシャキシャキとしていて、麺を食べた後ではいっそう新鮮な 食感が得られる。 そのものの味に加えて豆板醤の味がよく絡んでいて、とても美味しい。 牛肉がまたいい。 ビーフジャーキーのように、かなり硬くて噛み応えがあるのだが、それが 苦にならず、新鮮な驚きをもって迎えられる。 きっと干し肉を使ったものに違いないと思い、聞いてみたら、やはりそうだった。 しかし 中華で干し肉を使うなんて、ずいぶん珍しい。 干し肉を使った料理は、この店のメニューには、 この品しかないそうである。 干し肉はお酒でもどすそうであるが、その硬さと人参などのシャキシャキ加減を出すのがとても 難しいそうである。 炒飯には卵、長ネギ、しめじ、グリンピース、海老、鶏肉が入っている。 強い火力で炒めた炒飯は、米がパラパラしていてとても美味しい。 これだけでも、なかなか 真似できるものじゃない。 そして、この炒飯はとても薄味で、XO醤チャーハンという名の割りには、XO醤の味をそれほど 感じなかった。 それが他の料理の辛さにピッタリと合うのである。 まろやかな辛さの坦々麺、豆板醤と唐がらしが効いた牛肉の合間にこの炒飯を食べれば、おのずと 食が進むというもの。 どの料理もとても美味しいのだが、いくら小皿でも、その量はとても個人のレベルで捌けるもの ではない。 今回は、食べ終わってからしばらくテーブルで呆然と佇むしかなかった。 やはり大人数で楽しみたいものである。 上記に飲み物を加えて、¥5,775也。 画像は四川坦々麺(左)と干編牛肉(右)をアップ。 店の外観やその他の料理については、ギャラリーを参照願いたい。