♪あなたを思い出す この店に来るたびに  坂を上って きょうもひとり来てしまった  山手のドルフィンは 静かなレストラン  晴れた午後には 遠く三浦岬も見える  ソーダ水の中を 貨物船がとおる  小さなアワも 恋のように消えていった  あのとき目の前で 思い切り泣けたら  今頃二人ここで 海を見ていたはず  窓にほほをよせて カモメを追いかける  そんなあなたが今も見える テーブルごしに  紙ナプキンには インクがにじむから  忘れないでって やっと書いた遠いあの日♪ 荒井由実(松任谷由実の旧姓)が「海を見ていた午後」を歌ったのは1974年、もう30年 も前のこと! その舞台となったDolphin (ドルフィン)は今も根岸の丘の上にある。 根岸森林公園から根岸駅の方へ降りていく根岸旭台交差点のところにある店を、見た ことがある人もいるだろう。 週末ともなれば深夜まで駐車場も席もいっぱいで訪れるのを躊躇することになるが、 月曜日なら大丈夫だろうと試してみた・・ その考えは正解で、運良く駐車場に3台分の空きスペースがあった。 車を停めて店内 へ入ると、予想以上に良い雰囲気であることに早々に気がつく。 これは本物だ。 きっと料理にも満足できるだろう! 早くも期待が高まる。 2階にも席があるようだが、この日は閉められていた。 週末だけしか開けていないの だろう。 私が店に入った夜8時頃にはカップルや近所から徒歩で来たと思われるような4〜5組の 客しかいなかったが、やがて次々と客が増えてきた。 客は主にカップル、女性同士、数人のグループなど。 いずれもそれなりに雰囲気の ある人達であり、くたびれたオヤジなどは一人もいない。 また「近所」といってもここは山手地区、煩いオバハンなどではなく、上品な夫婦や 家族連れである。 案内された窓際の席に着き外を眺める・・ 昼間であればはるか沖を行く船が見える (=ソーダ水の中を貨物船が通る)かもしれない・・ 夜は本牧〜根岸地区のコンビナートの灯が見えるのみであるが、それでも恋人達にと っては充分に雰囲気のある光景であろう。 さらに南の方に目を転じれば・・背の高いマンションが建っていて、残念ながら三浦 半島方面はよく見えない。 (ちなみに「三浦岬」とは「観音崎」のことである。 また「観音崎」は1980年に発表 された「よそゆき顔で」という曲にも出てくる。 雑学として憶えておいて損はない ぞよ!?) 店内の中央は一段高くなっており、そこではライブ演奏が行われている。 この日は 黒人が電子ピアノやシンセサイザーを操作しながら歌を唄っていた。 注文を済ませ、しばらくそいつの演奏や歌を楽しんでいると、やがて黒人の女性シン ガーがステージに登場し、歌唱力のある歌声を披露してくれる。 雰囲気は最高。 どうやら一日に5回ほど、時刻を決めてライブをやっているようである。 ステージをいろいろ観察していると、東京ドームでコンサートをやった時の写真のよう なものが飾ってある。 へぇ〜・・ そういう人達のライブを追加チャージなしに、間近 で鑑賞できるとは超ラッキー! 注文したのは次の通り。 - 海の幸と赤身マグロのサラダ 三種ペッパーとバルサミコドレッシング ハーブ風味 (\1,580) - にんにくと唐辛子と季節野菜のスパゲティー・ペペロンチーノ (\1,260) - ピザ"フォルマージョ" (マスカルポーネ、ブルーチーズ、パルメザンチーズ、ナチュ ラルチーズ) (\1,260) - レアチーズケーキ (\530) - コーヒー (\700) 上記に飲み物2品(ワインとジンジャーエール)を加えて、合計\7,870也。 注文してから料理が出てくるまでの時間は少し長めだが、夜景だけでなくライブを楽し めるのだから、まぁいいことにしよう。 さて、いよいよ料理が運ばれて来た。 まずは、海の幸と赤身マグロのサラダ 三種ペッパーとバルサミコドレッシング ハーブ 風味だ。 ・・?そのような品を注文した憶えはない。 私が積極的に「海の幸・・」などというものを注文するわけがない・・どうやらウェイ トレスが注文を聞き間違えたようだ・・まぁいいことにして食べてみる・・ 海の幸としてはタコ、いくら、鰹のタタキ、ホタテなどなどが入っている。 ペッパーとハーブがほどよく効いたバルサミコドレッシングは全体としては甘めの味で あるが、それが海の幸とよく合っている。 いくらの塩味がアクセントとなり、甘めの ドレッシングを良い方向に引き立てているようだ。 そのような味付けにより、生臭さを感じることなく、素材本来の味を楽しむことができ た。 次に出て来たのは、ピザ"フォルマージョ" (マスカルポーネ、ブルーチーズ、パルメザ ンチーズ、ナチュラルチーズ)。 これは薄い生地の上にたぁ〜っぷり載せられた4種のチーズがいい具合にとろけており、 それぞれの味がほどよく混ざっている。 これはチーズ好きには堪らない。 半分くらい食べたところで軽くタバスコを振ると、美味しさの幅が広がる。 そうしているうちに、直径20cmほどとそれほど大きくないこともあり、ペロリと食べて しまった。 次の品は、にんにくと唐辛子と季節野菜のスパゲティー・ペペロンチーノ。 このペペロンチーノには、じゃが芋、カブ、玉ネギ、パプリカ、ベビーコーン、スナッ クえんどう豆、マッシュルーム、ニンニク、赤唐辛子、ベーコンなど、野菜が豊富に入 っているのが嬉しい。 パスタの茹で加減はアルデンテ、野菜の茹で加減も茹で過ぎず硬過ぎず、いい感じ。 ニンニクの香りと味がパスタによ〜く絡まっていることに加え、その味が主張しすぎる ことなく、野菜本来の甘さや味もしっかり味わえる。 これは素晴らしい! これは私が今まで食べたペペロンチーノの中で最高の味だと断言できる! 元々そのつもりはなかったのだが、ここまできたらデザートも試してみたくなった。 誰かが注文したパフェにも惹かれたが、さすがにそれは無理と思い、今回はレアチーズ ケーキとコーヒーを注文した。 レアチーズケーキはそれほど濃厚ではなくアッサリしたもの。 これは広く万人に受け 入れられると思う。 コーヒーの濃さも適度であり、普通以上に美味しいと思う。 会計を済ませて外に出ると、店員が一人立っていて、車が走り去るまで見送ってくれる。 おぉぅ、こりゃまたいい気分だ。 総じて予想以上に美味しい料理であり、さらに思わぬ収穫もあったため大満足! 久し ぶりにいい気分で店を後にすることができた。