この店は自ら「町の洋食屋」との看板を掲げている。 細かいことを言うようだが「町の〜」とは客の呼び方であって、客がそのように評価する からこその呼び方だと思う。 それを目指せば良いのであって、自らわざわざ誇示する 必要はないと思うのだが・・ 私の勝手な持論(=希望)だが「町の洋食屋」とは地域生活に密着した店の筈と思っている。 あまり大きく(広く)なく、それほど綺麗でも立派でもなく、どちらかというと地味で、 町並みにひっそりと溶け込んでいるものと思っている。 そういう意見を持つ私に言わせれば、この店、外から見る雰囲気はどちらかといえばファミ レスっぽい。 「この店はきっと大したことないだろう」との予想は、店に入った瞬間に確信に変わった。 店内が外から見て想像した以上に広かっただけでなく、その広い店内の約半分のスペースを オバサンもしくは準オバサン達が占領していたからである。 団体客を受け入れることにより一定の利益が期待できるのであろうが、その客が他への迷惑 も気にせず大きな声で喋ったりするなら、よく考えた方がいい。 一般的に、オバサンというのは安い品ばかり注文して喋ってばかりいて、店にいる時間の長 さの割りには売り上げには貢献せず、客単価的にも時間単価的にも非効率な筈。 まして、 他の客が早めに引き上げたりすれば、売り上げ減少につながるだけでなく、店の印象も悪く なるだろう・・ そんなことを考えながら、次のとおり注文した。  - 季節のスープ:¥480  - 野菜サラダ:¥480  - ハンバーグステーキ:¥1,000  - 自家製生ハムのピザ:¥980 以上合計¥3,087也。 注文してから出てくるまでの時間は7〜8分。 では、出てきた順に食べてみよう。 野菜サラダには、ブロッコリー、人参、赤タマネギ、トマト、ほうれん草、レタス、大根、トレ ビス(日本語名ではレッドチコリとも言う)が入っており、それに梅ドレッシングがたっぷり掛 かっている。 野菜もそれほど新鮮ではない。 ベチャベチャするほど、たっぷり掛かっている割りには、ドレ ッシングから梅の風味が感じられない。 「梅ドレッシング」に期待していただけに落胆度は大きい。 赤い色の野菜がないのもイマイチ。 季節のスープは、紫芋を使ったポタージュ・スープだという。 紫芋を茹で、裏濾しし、牛乳と生クリームを加え、塩と胡椒で味を調えたものと思われるが、 ポタージュと呼ぶほどにはコクとトロ味がなく、紫芋特有の甘味も感じられない。 紫芋をケチったとしか考えられない。 コストを下げたいなら、タマネギも茹でて一緒に濾せば、 甘みがでると思うのだが・・ 生ハムのピザは、カレー風味のタコスっぽい薄焼きの生地に、ほうれん草と生ハムを乗せたもの。 カレー風味のタコスもどきの生地の味がかなり強く、トッピング素材の味を完璧なまでに消して いる。 ピザ生地も薄すぎて歯応えがないし、ほうれん草はともかく、生ハムの味が感じられない のは致命的である。 ハンバーグは、豚と牛肉の合挽きを使用しているようだ。 前日に余ったパンを摩り下ろして使っ て「つなぎ」として使っているのであろうが、たぶんその量が多いせいで、肉の味があまりしない。 ウスターソースとケチャップを混ぜ合わせて作ったと思われるソースも塩っぱく感じるし、その味 が後まで残る。 つなぎを減らしてビーフ100%とし、ソースに混ぜるケチャップを少なめにすれば、もっとマシ な味になると思われる。 ケチャップの代わりにトマトピューレを少しだけ使えば、後味もそれほど 悪くならないのでは? ハンバーグの上に乗せてある半熟目玉焼きの黄身がこぼれているのは論外。 これでは、どこかの ブログにあった「なんじゃこりゃ〜」のノリだ。 ちょっと器用な人あるいは脱サラした人が料理を作ってみたら好評だった。 それならと始めた のが、この店ではないか? 勝手な想像だが、そんな気がする。 素材そのものの味、種々の料理方法で味がどうなるのか、 他のどんな素材と組み合わせれば味が引き立つのか、料理を引き立てる盛り付けの仕方等々、そう いう基本的なことの修行が、恐らくあまりやられていないという気がする。 「地域生活に密着」という意味ではラーメン屋にも通じるかもしれない。 脱サラした人達が家系 ラーメン屋を新規開店するケースが多いと聞く。 テレビ番組などでも、それを追跡した様子を 放送している。 ただ、ラーメン作りで扱う素材やダシや味はある限られた範囲であろうから、その修行は数か月 程度で良いのかもしれないが、洋食一般となればそうはいくまい。 料理を提供することを通して地域に貢献する(それがレストラン)なら、目先の利益や内輪の評判に 満足せず、料理人としての腕を磨くことに心血を注いで欲しい。 画像は、野菜サラダ(左)とハンバーグステーキ(右)。